ご挨拶
造血幹細胞移植は、1950年代に産声をあげ、「人々から人々への善意のバトンタッチ」に よって今日まで発展を続けて来た医療技術です。すでに世界全体で造血幹細胞移植を受けた患者さ んの人数は2003年に100万人超え、最近のわが国では、自家・同種をあわせて年間約6,000件近 くの移植が行われるに至っています。造血幹細胞移植を受けて生活を再建するとともに、社会への 復帰を遂げられている患者さんは年々増加の一途をたどっており、まさに今こそ、移植を受ける予 定の患者さん・移植を受けた患者さん、ドナーとして造血細胞の提供を予定している方・提供を経 験された方、そしてそれぞれのご家族を継続的に支援していくための体制を全国のすみずみまで充 実させていくことが、強く求められています。
その目的を達成するため、広島大学病院では、本地域の関連各機関と協力しながら、造血 幹細胞移植推進地域拠点病院として、移植医療にかかわるさまざまな職種の育成、そしてかかりつ け医との連携を含めた地域ネットワークによる移植患者さんの長期フォローアップシステムの構 築に取り組んでおります。
もとより造血幹細胞移植は、広く社会の皆様に支えられることがなければ、決して成立し 得ない医療です。まだまだ、道の途上ではありますが、このホームページでは、皆様と「より良く つながりたい」と日々願いながら仕事を続けている私たちからの現時点でのメッセージを紹介させ ていただきました。ぜひ、造血幹細胞移植という人類にとってかけがえのない治療法をさらに発展 させ、より多くの患者さん・ドナーの方に笑顔をもたらすことができますように本院造血幹細胞移 植チーム一丸となって精進を続けて参ります。
どうぞ今後も温かいご指導・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
広島大学病院は、中国四国地区における唯一の小児がん拠点病院として、小児がん患者と その家族が適切な医療や支援を受けられる環境の整備に尽力しています。当院では、免疫能が障害 されて発症する『原発性免疫不全症』の根治に向けた造血幹細胞移植にも取り組んでおり、全国か ら幅広く移植患者を受け入れています。造血幹細胞移植は、難治性白血病に代表される『小児がん』 の治癒率の向上に必須の治療法であり、『造血幹細胞移植拠点病院推進事業』を介してその体制整備 に取り組んでいます。質の高い移植医療の実現には、医師、看護師のみならず、造血細胞移植コー ディネーターや移植に関わる多職種が連携したチーム医療が重要です。さらに移植を行わない施設 とも連携し、地域で移植患者をサポートできる体制整備が必要です。本事業による一連の体制整備 により、移植医療の質を高め、移植患者のQOL向上を達成します。